動作がゆっくり
動作緩慢(bradykinesia)はパーキンソン病の中心症状。動き出しにくい/反復で小さく遅くなる/表情が乏しく声が小さいといった形で現れます。四大症状(動作緩慢・筋強剛・安静時振戦・姿勢反射障害)のうち動作緩慢は必須で、指タップ・手開閉で振幅と速度の減衰を確認します〔2〕。ただし、薬剤性パーキンソニズム(ドパミン遮断薬)、甲状腺機能低下、うつでも似た像になるため鑑別が必要です〔1,4〕。
【診断と治療】
* 診断:臨床基準(MDS)に沿って、左右差のある錐体外路所見や嗅覚低下・RBDなど支持所見を総合(必要に応じてDAT-SPECT/MIBG)〔2,4〕
* 治療:L-ドパを基軸に症状・年齢・合併症で最適化。運動リハ(キューイング、メトロノーム歩行、音楽療法)で歩行・凍結改善の根拠が蓄積〔1,3〕
* 生活:転倒予防、便秘・起立性低血圧・睡眠障害など非運動症状にも手当て
【まとめ】緩慢=PDをまず想起しつつ、薬剤・内分泌・うつを見落とさない。薬+リハの二本柱で日常機能を守ります〔1–4〕。
【参考文献】
〔1〕 Bloem BR, et al. Parkinson’s disease. Lancet. 2021.
〔2〕 Postuma RB, et al. MDS PD diagnostic criteria. Mov Disord. 2015.
〔3〕 Keus SHJ, et al. Physiotherapy for Parkinson’s disease: guideline. Parkinsonism Relat Disord. 2014.
〔4〕 Armstrong MJ, Okun MS. Diagnosis and treatment of Parkinson disease. JAMA. 2020.
